仕事も暮らしも
”自分”次第

Interview

広島県 廿日市市→広島県 大崎上島町

藤村さんご夫妻

自分のフィーリングを信じて移住を決行。 理想の空き家に巡り合えたことで、 DIYや家庭菜園などの趣味も仕事も楽しむ、 離島ライフを満喫しています。

広島県といえば、牡蠣やレモンの特産品、宮島に尾道といった観光地など、“瀬戸内海”にまつわるものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。穏やかな海にプカプカと浮かぶように見える島々。そんな長閑な環境で暮らせる大崎上島町は、田舎暮らしを望む方々から注目されるスポットの一つです。移住して3年になる先輩移住者の藤村さんに、この土地の魅力やライフスタイルなどをお話しいただきました。

—— ―移住をしようと決断したきっかけを教えてください。

私は、 “移住したい”が先ではなく、“ここで暮らしてみたい”と思ったことが先でした。

大崎上島町には、移住前にトライアスロンや観光で6回ぐらい遊びに来ました。足を運ぶほどに、「海があって穏やかでいいな」、「ここで暮らしてもいいな」という思いが大きくなっていきました。親族や知人もいない町でしたが、SNSで大崎上島町の観光案内所の方とつながり仲良くなったのがきっかけとなり、移住することを決意。とはいえ、移住するにあたり仕事をどうするかなど、考えるべきことは多く、すぐに移住したわけではありません。そんな時、町役場の職員募集のことを知りました。公務員試験に挑戦することについて、家族や当時の上司にも相談をし、働きながら試験勉強をすることにしました。そして、公務員試験の合格を機に移住しました。

—— ―離島に移り住むことに不安はありませんでしたか?

私は町営住宅を借りて1年、単身で暮らしました。住んでみないと地域のことは何もわからないので、リスクの少ない賃貸を選択したのは良かったと思います。おかげで、焦らずゆっくり空き家を探すことができました。

田舎に移住するとなると、地域との関わり方に不安を感じる方も多いかもしれませんね。実際、私たちが空き家に移り住んだとき、地域の方々からは“若い人が来た!”と温かく迎え入れていただけました。地域に溶け込みやっていきたいのか、自分流のスタイルを追求したいのか、事前に調べてみたり、実際に短期的でも良いので住んでみた方が良いと思います。

—— ―3年暮らして大きく変わったところを教えてください。

結婚しました。1年間は島で一人暮らしをして、空き家に引っ越しをするタイミングで結婚。今は妻と二人暮らしです。

二人とも、移住前に新しい職場を探しました。私は今、大崎上島町役場に勤めています。妻は移住のタイミングで前職を辞め、職業訓練校に通いながら職探しを。タイミングよく大崎上島で求人があり、正社員になれたので、お互い張り合いを持って過ごすことができています。最初はどうなるか不安でしたが,自分たちの理想に合ったくらしに巡り合えてよかったです。

休日は、妻や友人と一緒に釣りに出掛けるなど、趣味と仕事を両立させて楽しく暮らしています。

—— ―空き家はどのようにして探されましたか?

そもそも島には民間の住宅紹介業者がないため、単身で移住を決めた時は、町営住宅に住むしか選択肢がありませんでした。まずは、町営住宅に住みながら、ゆっくり家を探せば良いという気持ちでしたが、実際は、ネットでも空き家の情報がほとんどなくて、困りました。空き家バンクの物件も確認していましたが、なかなか希望の住宅がなく、自力で探すのは難しかったですね。私がここと出合えたのは、職場の先輩から「わりといい空き家があるよ」と声をかけていただいたのがきっかけでした。

それまで、数軒、空き家の内見に行きましたが、庭付きという譲れない条件を満たすような物件と出合えませんでした。ここは、庭付き、縁側付きで希望の条件をクリア。しかも貸主さんから「好きに手を入れていいよ」といっていただけたので、好きなDIYも楽しめると思い、ここに決めました。

選択肢が少ないとその範囲で考えてしまいがちですが、焦らず、諦めず、時間をかけて良かったです。最終的には満足できる空き家と巡り合えました。

—— ―契約されてから引っ越しされるまでの経緯を教えてください。

以前の住民の方が転居されて半年程度手付かずのままだったのか、家の中はかなり傷んでいて、すぐに暮らせる状態ではありませんでした。畳に土があがっていたり、土壁もぽろぽろはがれていたり、くつろげる場所がなくて食事を食べる場所が廊下しかなかったり(笑)。そのため,まずは町営住宅で暮らしながら、自分たちの手でリフォームして、1か月後に、なんとかくつろげる場所をつくることができました。

手を加えたいところがたくさんあったので、作業は大変でしたが、引っ越す際にインパクトドライバーを用意するほどDIYをしたかったので苦ではなかったですね。

自由にしていいと、持ち主の方から言っていただけたので、自分たちの使い勝手のいい、理想の住まいとすることができて良かったです。

大変だったのが床の張り替えです。木材は、湿気が多い夏場は膨張し、乾燥した冬場には、収縮します。その「膨張」と「収縮」を考慮し、隙間を空けて床に並べる必要があり、コツをつかむまで大変でした。

上手くできたと思うのは、キッチンと庭のピザ窯です。キッチンは、アイランド風にしたかったのでホームセンターで木材を買ってきてリフォーム。ピザ窯も材料をホームセンターで調達して手作りを。

ほかには玄関に自転車と釣り竿を立てかけるスペースを作りました。

家具は古いものが好きなので、祖父母から譲り受けたり、リサイクルショップで手に入れたり、安くていいものを見つけては手を加えて暮らしに取り入れています。

—— ―これからの楽しみを教えてください。

趣味を楽しみながら、のんびり自分たちのペースで暮らしていきたいですね。

今、DIYと同じぐらい夢中になっているのが家庭菜園です。

ハーブを植えたり、ブドウを育てたり。どこから種が飛んできたのか勝手にスイカが育つなど、畑って面白いですね。ほかにもいろいろ育ててみたいので、これから少しずつ拡大させていきたいと思っています。

周りには自然がいっぱいあるので、庭に巣箱を置いてみました。今は住んでいないのですが、いつか暮らしてもらえるよう、新たにエサ台を作っています。

—— ―離島暮らしはいかがでしょうか。

私たちが移住してから、徐々に移住者が増えているように感じています。

年代は20~30代前半の若者世帯と、40代後半から50代の子育て卒業世帯と2極化していて、カフェや美容院、農業など自営業を始める方が多いようです。カフェができるとか、カレー店ができるなど移住者の活動情報が入ってくるたびに、楽しみが増えるとワクワクしています。

ここは離島のためか、みなさんのんびりされていてとても住みやすい場所ですが、子育て環境はどうなのか不安があります。子どもが幼いうちは保育園など待機児童もなくスムーズに通えそうですが、大きくなるにつれ、学校の選択肢が少なくなりそうです。まだ子どもがいないので本腰を入れて調べていませんが、もう少し情報を集めてみたいと考えています。

—— ―これから移住したいと思っている方にアドバイスをお願いします。

暮らしていくには、生活を支えるための収入は不可欠。ネットを使った仕事や飲食店、農業などフリーランスの方は、全国どこでも暮らしていけると思います。私たちはたまたまタイミングよく就職できたので良かったのですが、勤め人の方は、移住されるときにその土地の就職状況を事前に確認される方が安心だと思います。ネットで求人情報をチェックするだけでなく、地元の方とつながるととても心強いですよ。

私たちのように、その地域が気に入って暮らしてみたいと思っている方は、まず賃貸でお試し田舎暮らしをしてみることをおススメします。地域を知るだけでなく、田舎暮らしにあっているのかどうかも体験してみないと実感できないですから。焦らず、自分に合った物件をじっくり探してみてほしいです。


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