仕事も暮らしも
”自分”次第

Interview

大阪市→広島県三原市

真野郁子さん

#DIY#古民家#山が近い#移住#農地付き#農業

本物の「生きていく力」を身に付ける旅の途中。自然体験のできる古民家宿をつくり、人のつながりを広げていきたい。

大阪府警察で6年間勤務した後、オーストラリア、カナダなど海外生活を5年間経験。新型コロナウイルスによるロックダウンを受けて、日本に帰国されたのだそうです。その後、三原市地域おこし協力隊の募集を見つけて移住。セルフリノベーション中のご自宅を訪ね、古民家暮らしの魅力などを伺いました。

—— 5年間の海外生活についてお話しいただけますか。

6年間務めた大阪府警察を退職した後、最初に暮らしたのはオーストラリアです。語学留学で半年間、そのあと2年間シェアハウスで暮らしながらオーガニックカフェなどで働きました。

そのとき一緒に働いていた仲間からヨガを教えてもらったことがきっかけで、インドに1か月間滞在。インストラクターの資格を取得しました。

次はカナダで1年間、シェアハウスで暮らしながら、お寿司屋さんとレバノン料理のお店で働きました。

続いて、スペイン語を学ぶためグアテマラに3か月間留学しました。オーストラリアに語学留学したときは初めてだったこともあり、かなり苦労しましたが、グアテマラの人々の陽気でオープンな人柄もあって、暮らしやすく、とても楽しかったです。“旅行”ではなく“暮らす”ことで見えてくることがたくさんあると実感できました。

—— そもそもなぜ海外へ飛び出したのですか?

大阪府警察での仕事はそれなりに充実していたんですが、ずっと恩師の「肩書が無くなったとき、本当の生きる力が問われる」という言葉が心に引っかかっていました。自分を改めて見つめたとき「どうなんだろう?」と疑問が浮かんで、「よし!」と一念発起で6年間務めた大阪府警察を退職して、海外へ飛び出しました。

5年間海外で暮らしましたが、正直言うと、まだ日本に戻ってくる予定ではなかったんです。スペインに入ったとき、新型コロナウイルスによるロックダウンを受け、やむなく帰国しました。

—— 三原に移住したきっかけを教えてください。

もともと地域おこし協力隊に関心があったので、帰国後、三原市の募集を見つけて応募したのがきっかけです。

2020年9月から、三原市地域おこし協力隊として活動しています。

移住したばかりのころは、集合住宅で暮らしていました。

—— 空き家を探した経緯を教えてください。

ゲストハウスを運営したいという思いがあり、三原市に移住してから、それは空き家を活用するのがベストだと考えるようになったからです。

宿の手本にしたのは、私がカナダ滞在中に訪れたソルトスプリング・アイランドという島の暮らしです。

ソルトスプリング・アイランドには、オーガニックな暮らしを求める人々が沢山住んでいます。私が出会った方も、豊かな自然に囲まれて、アヒルや山羊を飼い、野菜を育て、自給自足の暮らしをされていました。

—— どこが気に入ったのですか?

当初考えていた予算を超えていましたが、希望していた平屋の古民家!

縁側があるところも気に入りました。20年間空き家だった割には、定期的にメンテンナンスをされていたようで水廻りの状態がよく、すぐに暮らせる状態だったところもよかったです。水もきれいで、井戸もあります。

ご近所さんもとてもいい方だったこと、山や田畑があってやりたいことができそうなこと、この2点が何よりの魅力です。山林は、7万平方メートル、東京ドーム約1.5個分もあります。

母屋が山を背にして建っていないので、がけ崩れの心配が少ないところも安心材料でしたね。

—— 現在もリノベーション中ですか?

絶賛リノベーション中です(笑)

まずはプライベートルームから着手しました。

梁を出して空間を広くしています。元々あった天井を取り、今まで隠れていた部分を見た時、とてもワクワクしたのを覚えています。

梁にススが付いていたり、敷居等の木材が違うところに再利用されていたりしました。私はそこに愛着を感じたので、あえてそのままにしました。

自然素材を使いたいので、壁には牡蠣殻を使った瀬戸漆喰を塗っています。フローリングの下は炭をひいて、もみ殻を断熱材にしました。間伐材を使ってソファーベッドをつくり、角材を取った残りの端材は、梯子や犬小屋に。

YouTubeやネットを検索したり、大工さんやご近所さんの意見を聞いたりして、できるだけ自分の力でリノベーションに挑戦しています。やってみるとなんとかなるものです(笑)

—— 暮らしてみていかがでしょうか。

海外生活での経験が役に立ったのか、地域にスムーズに溶け込んでいると思います。

田舎暮らしは、人とのつながりが大事です。一人では成り立たない。そのことを実感する毎日です。地域の方々に助けていただいて、今、本当に楽しく生活しています。

暮らしが充実しているのは、愛犬ヤマトの存在も大きいですね。一緒にいてくれるだけで寂しくないですし、人が好きな犬なので、地域の方々とつながりを育む“かすがい”でもあります。

縄文柴犬の血が入っているので足腰が丈夫。毎日、山の中を走り回っています。1歳にも満たない無邪気な姿からは想像もできませんが、偶然遭遇したウリ坊を仕留めたときは、さすが猟犬だ!と思いました。

—— 古民家をどのように活用される予定ですか?

パーマカルチャーの要素を取り入れた、自然体験のできる農家民宿を始める予定です。薪割り体験や田畑を活用した農業体験など、いろいろ考えています。

現在、皮むき間伐という方法で森づくりにも取り組んでいます。

皮むき間伐というのは、女性や子供でも出来る間伐方法で、スギやヒノキの皮を剥いで一年じっくり乾燥させ、軽くなったら伐採し、木材として活用します。

去年は所有している山で地域の子供達や色々な人に手伝ってもらい、ヒノキの皮を剥きました。今年はそれらを伐採して、古民家のリノベーション材料や家具に活用したいですね。

その他にもシイタケの栽培、養蜂、ジビエ料理、やりたいことをあげたらいっぱいありすぎて・・・。

ここに泊まりに来たみなさんには、自由に楽しんで欲しいです。観光、農業体験はもちろん、空き家探しの拠点としても活用してもらいたいですね。

—— 移住を考えている方にアドバイスをお願いします。

都会と田舎で大きく違うのは、人間関係です。ご近所さんと挨拶はするけど何をしている人かわからない、といった関係とは大きく異なり、「見知らぬ人が訪ねてきてたよ」と教えていただくなど、見守られている感覚があると思います。そうした関わり方を理解することが第一歩。自分をオープンにすると楽になると思います。

今は、インターネットを使えるので、どこでも仕事ができます。三原市には産業もあるので通勤も便利な場所です。車があれば、買い物も病院も行けるので不便はありません。

地域には素敵な方がたくさんいますので、ぜひ、ふれあいに来てください!

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