都会で働き、
自然の中で暮らす

Interview

広島市→北広島町

Tさんご家族

#古民家#川が近い#引っ越し#田舎暮らし

子育てを考えて“お引っ越し”。暮らしに四季の彩りが加わりました。

子どものことを考えたら自然の中で子育てするのが一番、と思いながらも仕事のやりがい、友人関係など、築いたものを一旦リセットして田舎で暮らすのは難しいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。広島市内にお勤めのTさんは、仕事も子育ても一挙両得な方法を選択。引っ越しに至った経緯から、自然の中に身を置くメリットなど教えていただきました。

—— いつから田舎暮らしを考えていましたか。

漠然と自然の中で子育てをしたいという思いはありましたが、田舎暮らしに向けて特段何かをしていたわけではありませんでした。きっかけになったのは、3年前の妻の出産です。北広島町に帰省して出産したんですが、そのとき、実家の近くにある妻の祖母が暮らしていた家が空いていると教えてもらいました。

 

 

北広島町は何度も里帰りしていて、自然が多くていい町だとは思っていましたが、それまで引っ越しするとは考えていいなかったので改めて、家族で“住む”という視点に立って考えてみることにしました。

—— 決断のポイントを教えてください。

北広島町に移り住むことで、どんな影響が出るか考えました。
居住地は北広島町の中でも広島市内寄りで、アクセスのいい場所です。通勤もバスで片道1時間15分から30分程度。仕事を変える必要がないのは大事なポイントでした。
さらに、子どもを育てる環境を考えても、北広島町は自然が豊かで妻の両親が近くで暮らしていることは大きなメリットです。友人との付き合いや買い物のことなど、さまざまな影響を考え、突き詰めた結果、大きな問題もなく「移住できる」という答えにいきつきました。

—— 最後までネックになったことはありますか。

正直なかったですね。“移住”というとライフスタイルを一新してスタートする!というイメージがあるかもしれませんが、私たちは仕事もそのままに、住まいだけを変えて子育てをしています。 “移住”ではなく“引っ越し”という感覚なので、特に悩むことがありませんでした。

 

 

引っ越した家は持ち家ではないので、「人生の一大転機」のような考えはなく「合わなければ別の住まいに移ればいいかな」と少し楽に考えられたのかなと思います。子どもが大きくなって、習い事などで不便を感じたら、以前も住んでいた広島市内に引っ越せばいいと思っています。

—— 今の家に手を加えた場所やポイントなどはありますか?

リフォームは、家計の大きな負担とならないよう、最低限暮らせる範囲でお願いしました。

 

以前住んでいた広島市内の家での一番大きな変化といえば、妻が自宅で薬膳の料理教室を開いたことです。そのため、キッチンは妻が主役になって考えて、リフォームしました。壁面に備え付けられていたコンロやシンクを対面式にして、教室としても使いやすくレイアウトしました。壁面は収納・調理スペースとして活用できるように工夫しています。

 

 

総檜の平屋という特長を生かして、キッチンダイニングは天井を抜き、太い梁をむき出しに、屋根は透明な瓦を入れて外光を取り入れ、開放的な空間にしました。梁には建築当時にメモ書きされたものが残っているのですが、味があるのでそのままにしています。

 

 

壁面は珪藻土を塗りました。妻の父親が美術教師ということもあり、ゴッホ調にデザインしたものを左官さんに仕上げてもらいました。対面式キッチンの壁面は、私たち家族も一緒に左官作業したんですよ。自分たちで少しでも手をかけると愛着がわきますね。

 

—— お気に入りの空間は?

家族が自然と集まるのは、リビングダイニングですね。夫婦二人とも“木”が好きなので、ダイニングテーブルは広島の木工メーカーのものを選びました。椅子は広島で開かれたインテリアフェアなどにも足を運んで、実物に触れて一脚ずつ好きなものを選びました。食事のときは、まず子どもが好きな場所を選んで座り、それに合わせて夫婦が座るので、どの椅子が誰のものとか決まりはなく、毎回座る椅子は変わります。
ビンテージのコーナーキャビネットは夫婦で一目ぼれして購入したお気に入りです。

 

 

縁側では、猫含め、庭を眺めてのんびり過ごしています。心地いい風が通るのでとても快適です。広間は妻がヨガや鍼の先生とコラボしてレッスンやお話し会を開くときに活用しています。

 

—— この場所で暮らしてみて感じたメリットを教えてください。

自然の中に身を置くことで、その恵みを全身で感じています。
四季の中では、タラの芽、ウド、ワラビ、タケノコなど、里山の幸が食卓に並ぶ春が楽しみです。広島から1時間程度の距離でも気温がずいぶん違います。夏はエアコンをほとんど使わず、心地いい自然の風で十分。虫の声を聞きながら暮らすなんて、贅沢ですよね。
妻が自宅で教室を開くようになって、私にもいい影響がありました。
薬膳は東洋医学に基づいているんですが、同じ由来を持つ鍼やヨガの先生を教室に招くことがあり、私も一緒になって勉強しています。生徒さんは広島市内からだけでなく、三次や庄原、島根からも来られます。妻は広島市内でも教室を開いていますが、そこに通う生徒さんの中には「雰囲気が好きだから」と広島からわざわざ北広島町に来られる方もいらっしゃいます。

 

—— 今の住まいで不便に感じるところはありますか?

冬が寒いことですね。これは体験してみて、しみじみ感じたこと。雪が深いというわけではなく、底冷えする感じです。昔の家なので風通しがよく、最近の住まいで使われるような断熱材を使用していないので保温が悪いのでしょうね。広島市内で暮らしていたときより、布団をたくさん掛けて寝るようになりました。

 

寒いと風邪をひくなど体調を壊しそうですが、子どもは風邪をひかないですね。毎日泥まみれになって元気いっぱいに過ごしているせいか、大きな病気にもかからず、3歳ですがこれまでに病気で病院にかかったのは1回ぐらい。体調に変化があるときは、鍼の先生にお願いすると、すぐに回復しています。子どもが元気ということが、自然の中で子育てをしていて一番良かったなと感じるところです。

 

そういえば、新聞が朝に届かないのは予想外でした。この辺りは郵便局員さんが配達するので、届くのはお昼ちかくになるんですよ

—— 田舎暮らしを考えている方にアドバイスをお願いします。

空き家バンクには、売家ばかりでなく賃貸もあります。
どうしようかな、と考えている方は、まずは賃貸物件を借りて引っ越してみてはどうでしょう?
“移住”ではなく“引っ越し”と、楽な気構えでトライしていいと思います。私たちのように、勤め先を変えることなく移住すると精神面での負担も少ないです。なにより自然の中での子育てはおすすめ!Uターンとなれば、たまには子どもを両親に預けて、二人でショッピングをしたり、ランチを楽しんだり。自然の恩恵だけでなく、いろんなメリットもあるはずです。

 

北広島町にも空き家はたくさんありそうです。引越し先に気になる地域があれば、まずは問い合わせてみてはいかがでしょうか。
Tさんの奥様が主宰されている「ニタキアトリエ」
様々なワークショップやイベントを開催しているので、ご興味ある方はコチラもぜひ覗いてみてくださいね。

 

URL:https://nitaki-atelier.com/