住まいも、店舗も、決め手はインスピレーション。自分たちらしく、笑顔で楽しく暮らしていく

・北広島町の空き家バンクを利用して2007年に移住
・改修はできるだけ自分たちで、一部大工さんや周りに協力してもらいながら安価に実施
・ 最先端の設備を備えることよりも、家族のやりたいことを最優先に
・家賃は月5千円

住まいも、店舗も、決め手はインスピレーション。自分たちらしく、笑顔で楽しく暮らしていく

北広島町

【自邸】

山県郡北広島町大朝に移り住んで10年の村上さんご一家。現在は、3人の子どもと家族5人で、明るくのびのびと暮らしている。転居後は、会社勤めをしていたお父さん。お母さんが中心となって2年前に開業した店「かあちゃん餃子」を手伝うため昨年退職。現在は、夫婦二人三脚で切り盛りする毎日。どんなことにも前向きで明るいご夫婦に、転居のきっかけから聞いてみた。

転居のきっかけから教えてください。

神戸が震災にあったとき「人間いつか必ず死ぬなら、楽しく生きないと損だ」と思ったのが移住につながる最初のきっかけですね。その後、特別に生活を変えるということはありませんでしたが、電車に乗っている時、ふと「田舎暮らし」の中吊り広告に目が留まりました。それを妻に話したことで“移住”が具体的になり、すぐに相談に行ったんです。

移住先は北海道から沖縄まで選択肢はたくさんありましたが、神戸からなるべく近い山口、岡山、広島に絞りました。いろいろ話を聞いて回りましたが、当時は農業を本格的に始めないといけない場所ばかりで、農業をしたことのない私たち夫婦では難しいと感じていました。そんな中、勤め先もすぐに決まってトントンと話が進んだのが広島でした。

 

 

住まいの決め手を教えてください。

大朝の町役場の方のサポートを得て、空き家バンクに登録されていた物件を見て回りました。現在住んでいる家は、見学に来たときには中に入ることはできなかったのですが、広さも申し分なく、ガラス越しに中を見たときピンときて、ここにしよう!と即決。「田舎暮らし」の中吊り広告を見てから、半年のスピード移住です(笑)。

家賃は月5千円。大家さんとの関係も良好で、家や設備が壊れたときの改修費用は私たち持ちですが、どのように変えるのも自由にしてよく、大家さんからは「燃えても何も言わない」とまで言っていただいています。

 

移り住む前にリフォームはされましたか?

もともと私は設備施工会社に勤めていたので、簡単な工事は自分でできます。はじめて家の中に入ってみたら、床がベコベコで、引っ越し前に床を妻と二人で張り変えました。土台はしっかりしていたので、床板だけの取り替えで5万円ぐらいかかりました。

 

 

お風呂はユニットバスがついていたので、不便なくそのまま使っていましたが、土間に据えてあるような状態だったため、着替えがとても寒かったんです。そこで、会社でもらってきた廃材を使って大工さんに骨組みを造ってもらい、囲む床や壁を夫婦で造りました。子ども部屋も天井からはがして断熱材を入れて壁紙を貼り直して。これらは合わせて10万円ぐらいかかりましたね。

流し台も直しましたが、友人がリフォームしていらなくなった流し台をもらってきて付け替えたものです。

私たちは基本的に自分たちでできることは自分たちでする、というスタンスです。

 

 

今の住まいで気に入っているのは?

最近新しく取り付けた薪ストーブです。田舎でも今はインターネットがあるので何でもすぐに手に入ります。もともとあった食器棚を取り外し、自分たちで取り付けました。もう少し大きくても良かったかなとも思いますが、お湯も沸かせるし、とても気に入っています。

この建物では、もともと民宿をされていたようで、家の造りがとても面白いです。現在居間として使っているところは宿泊客がご飯を食べる食堂。息子たちの部屋は、宿泊部屋でした。不便だと感じるところは、押入れが少ないことですね。部屋数はたくさんあるので、2階を押入れ代わりに使っています。

 

 

 

神戸ではマンションで暮らしていたので、ウォシュレット付きのトイレなど設備は最先端。現在は汲み取り式で隙間風も入りますが、不便だと不満に思うことは少ないですね。子どもたちがのびのび元気に走り回れる環境を、何よりも魅力に感じています。

 

移住に不安はありませんでしたか。

生まれも育ちも関西で、広島は親戚が尾道で生まれたというぐらいでまったく縁はありませんでしたが、移り住むのに全く不安はありませんでした。もともと悩まず、落ち込まないタイプなんです(笑)

関西人特有のノリで積極的に話しかけていくと、周囲の方々が「こういう人なんだ」と受け入れてくれて。子どもの友だちのご両親と仲良くなったり、学校の先生によくしてもらったり、ご近所の農家さんに作物づくりを教わったり。本当に助けてもらっています。大朝で移住サポートが始まった当初は、移住者と地元住民との間でギクシャクしたこともあったようですが、先輩移住者のみなさんがしっかり基盤をつくってくださっていたので、私たち家族はすぐ馴染むことができました。

移り住んで10年。子どもたちが背比べをした跡が柱に残っていて、それを見ると時間の流れを感じます。玄関に飾っている壁掛けは息子が学校でつくってきたものですが、こんなこともできるようになったと改めて成長を嬉しく思います。

 

 

 

現在の暮らしぶりを教えてください。

2年前、お店を始めることになりました。

妻が神戸で餃子とラーメンのお店をしていた経験があったため、お世話になっていた方から商店街の再生のため、空き店舗を借りて欲しいとお話をいただいたんです。そのとき紹介していただいたお店はイメージと違ってお断りしたんですが、焼鳥のテイクアウトを販売していた空き店舗を紹介してもらったとき、ピンときて。そこからまた話がトントン進んで、妻の手作り餃子とお弁当の店をスタートすることとなりました。準備期間は3ヶ月。空き店舗を改修した費用は120~130万円でした。

開店後すぐにテレビで紹介していただいたり、イベントにお誘いいただいたり、オープンしてから忙しい日々をおくっています。

でも、オープンして1年経ったころ、妻一人でやるには限界になってきて、やるか、やめるか判断しなくてはならない大変な時期もありました。そこで思い切って私が手伝うように舵をきり、今は夫婦二人三脚で切り盛りして、なんとか軌道に乗りつつあります。将来的には、少し広い近くの空き店舗に移り、朝食を提供してご近所さんが集えるような場所ができたらいいなと考えています。

 

 

 

空き家を探されている方にアドバイスをお願いします。

私たち家族は、インスピレーションを大切に今の住まいや店舗と出合いました。みなさんにも、タイミングを逃さないように探してもらいたいですね。空き家バンクの担当の方に、いろいろ聞いて相談にのってもらうのもオススメします。

見学に足を運ばれたら、家の周りに暮らしている方と話をしてみるもの大事ですよ。

ここ大朝は、Uターンや移住された方がたくさんいて、そのネットワークもあります。困っていたら回りが助けてくれるので安心して。

私たち家族は、暮らしの満足度はお金じゃないと実感しています。大事なのは人とのつながりです。今私たち夫婦の両親は「あんたら楽しそうでいいなー」と言ってくれます。そんな満足な生活を、みなさんにも体験してもらいたいですね。