尾道をゆっくりと、じっくりと楽しんで。 プロジェクトが手がけた2つの宿泊施設

みはらし亭
・空き家バンクに登録されて何年もたっていた物件を2009年に購入
・2015年に工事着手、1年3ヶ月の期間を経て2016年3月にオープン
・新築同様でなく、建物の持ち味を生かした改修を優先
・改修費は約2,000万円(基礎工事含む)、ボランティアスタッフ100人超
あなごのねどこ
・かつては呉服屋として商売をしていた町家のような物件
・カフェスペースと宿泊スペースに改修
・改修費は約800万円

尾道をゆっくりと、じっくりと楽しんで。 プロジェクトが手がけた2つの宿泊施設

尾道市

【宿泊施設】

年々増加していた坂や路地の空き家を再生してきた、尾道空き家再生プロジェクト。8年目を迎えた2016年3月にオープンしたのが千光寺の真下に建つゲストハウス「みはらし亭」。これまで扱ってきた物件の中で、ロケーションも規模も最大級の空き家だったそうです。2012年10月にオープンしたゲストハウス「あなごのねどこ」とともに尾道空き家再生プロジェクトの代表豊田さんに紹介してもらいました。

ゲストハウスを造ろうと思った経緯を教えてください。

もともと旅行添乗員として働いていた経験から、若い世代や海外からの旅行者が中長期滞在できる宿泊施設が尾道にはないと感じていました。漠然と「もっと多くの人に尾道に来てもらいたい、しっかり、じっくり楽しんでもらいたい」と考えていましたが、プロジェクトを進行させる中で、「せっかく尾道に泊まるんだったらビジネスホテルじゃ味気ないよね」、「お手頃価格でその町の雰囲気も感じられる宿泊施設がいいよね」、「歴史的な建物に泊まれるって素敵じゃない」、「尾道の日常を楽しむ拠点ができればいいな」、など、どんどん具体的なアイデアが湧いてきて。そんなとき商店街に残る町家と出合い、これはゲストハウスにいいんじゃないかと感じたことがきっかけで、そこから本格的にプロジェクトが進んでいきました。

京都や東京では、ゲストハウスも増えてきていたので、ニーズは必ずあると思っていました。

 

 

「あなごのねどこ」の魅力を教えてください。

ここはもともと、明治時代に呉服屋として商売をされていた場所で、京都の町家みたいな面白い造りをしていました。港町の尾道に、このような町家が存在していることは地元の人でも知る人は少ないと思います。

商店街に面した入口から細い路地を通って行くと、この建物の中庭が現れます。この和の風情を残しつつ再生すれば、海外のお客さまにきっと喜ばれると思いました。

「あなごのねどこ」とは、「うなぎ」の寝床のような奥行きの深い町家を、地元の特産品の「あなご」にちなんで付けた名前です。

 

 

ゲストハウス「あなごのねどこ」のこだわりを教えてください。

「あなごのねどこ」は、「あくびカフェー」、交流スペース「あなごサロン」、本と音楽「紙片(しへん)」で構成する複合再生空間です。これらをつなぐのは先ほどお話しした中庭。明治時代の面影を色濃く残す場所で、そのまま生かしています。ゲストハウスの受付のある広間も、あまり手を加えず、昔懐かしい空間となっています。宿泊スペースは男女別で、部屋には手づくりの2段ベッドを配置。少しモダンで、どこにもない面白いデザインです。

 

 

「あくびカフェー」のこだわりは?

「あくびカフェー」は2013年1月にオープンしました。旅と学校をテーマにしたレトロ喫茶兼交流スペース。料理や飲み物は学校給食を思わせるスタイルです。

昭和にテナントとして使用されていた当時の床や天井をはぎ取って、明治に建てられた当初の古い部分を生かし、さらに天然素材や古道具を用いて、古い木造建ての小学校を思わせる空間に仕上げています。靴箱を再利用した本棚は、当時使っていた生徒の名前シールが貼られたままです。30オーバーの方なら、童心に戻り教室に迷い込んだ気持ちになれるのではないでしょうか。

改修期間は1年、改修費用は800万円でした。

 

 

 

みはらし亭を再生したきっかけは?

そもそもこの建物と出合ったのは2009年10月でした。そのときの印象は、ロケーションが素晴らしい!ということと、大きな物件だったので活用できる人がいるのか?というものでした。不安は的中し、空き家バンクで紹介しても何年も取り残されたままでした。歴史的にも建築的にも重要なものであることは感じていましたが、石垣の改修など考えると費用は膨大。私たちもムリだとあきらめたこともありましたが、大家さんと粘り強く交渉を続け、活用を考えるワークショップを開催して、活用方法を練って行きました。

その後、先ほど紹介した「あなごのねどこ」をオープンさせたことで、観光や飲食業のノウハウを蓄積でき自信が得られたため、資金繰りの目処がたった2015年、再生に向けて始動しました。

 

 

こだわりの箇所を教えてください。

みはらし亭の改修費用は2000万円。期間は1年3カ月です。

基礎部分(石垣を組み直し鉄骨で補強)の耐震工事など大事なところは専門業者に入ってもらって、本格的な改修工事を行いました。

 

 

尾道空き家再生プロジェクトの春合宿では、大工さん・左官さんに技術を教わりながら、離れの外壁や内装の仕上げ作業を、夏合宿では、本館の外壁、玄関など顔となる部分の仕上げを行いました。六角形の寄木細工、モザイク、漆喰塗りなど職人的な細かな作業も、ボランティアスタッフが協力して行うことで、急ピッチで仕上げることができました。

 

 

 

築100年近い有形登録文化財を、多くの職人さんと100人を超えるボランティアの方々の協力を得て、2016年3月にゲストハウス「みはらし亭」として、オープンさせることができました。

宿泊スペースは全て和室。もともと使用されていた建具、欄間など使えるものは再利用しています。

 

 

 

カフェコーナーは、港町おのみちを感じさせるマリンなしつらえに。どの空間からも素晴らしいロケーションを堪能できます!

 

 

これからの活動について教えてください。

私たちは、尾道の空き家を新築同様に改築することはしません。建物の記憶を大切にしながら、それぞれの良さを残して再生します。それは、決して簡単なことではなく、更地にして新築した方が、費用が掛からないとこもあるでしょう。でも、私たちは尾道らしい家をひとつでも多く残していきたいという思いから、これからも、時間をかけ、汗を流して再生に努めています。

尾道空き家再生プロジェクトでは、定期的にイベントを開催しています。いろんな方がボランティアとして参加されていますので、興味のある方はぜひご参加ください。

そして、尾道で暮らしたいという方は、ぜひ空き家バンクにご登録ください。わからないことがありましたら、私たちがサポートいたします!

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