空き家再生とは何か 学生が実践的に学べる活動拠点に.

・古民家再生を学ぶ実践学習の場所
・町づくりの発信拠点として活用
・土間・かまど・五右衛門風呂を設置。田舎暮らしの体験スペースを備える。
・クラウドファンディングで資金を集め、プロジェクトを進める

空き家再生とは何か 学生が実践的に学べる活動拠点に.

東広島市

【プロジェクト(自邸+田舎暮らし体験スペース)】

近畿大学講師の谷川先生の研究室が中心となって進めている、東広島市福富町の古民家再生プロジェクト、レポート第2弾!
コミュニケーションスペース“星降るテラス”の進捗状況と、現在力を入れて進めていること、空き家再生を手掛けて学んだこと、気付いたことなど、谷川先生と学生に話を聞いてみた。

前回の取材から約半年。現在の再生現状を教えてください。

前回、見学いただいたとき(2017年1月下旬)は、柱や地面がむき出しの状態で、壁も取り壊した後だったと思います。床をはがしたら掘りごたつの跡が出てきたり、土地が水平でなかったりと、想定外のハプニングに大工さんと相談しながら対策を立てて作業を進めていたころでしたね。

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あれから柱を補強するなど作業を進め、2017年3月には、外と緩やかにつながる土間、板の間、囲炉裏、畳の間、トイレが設置され、建物の“基本”部分はほぼ完成しました。

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再生のポイントを教えてください。

“星降るテラス”と命名したぐらい、ロケーションのいい場所なので、土間のスライドドアは大きく、全面開放できるようにしています。

板の間には、もともと囲炉裏があった場所に、新たに囲炉裏を造り、団らんをたのしめる空間をつくりました。

もう一段高い広間は畳を敷いていて、ふすまを設置すると2部屋に分けて使用することができます。

星降るテラスのベースは、田舎暮らしを体験できる場所として広く活用するとともに、学生主体の活動拠点にしていきたいと考えています。

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これから取り掛かる作業を教えてください。

現在は、ワークショップを開催して、地域の方々にも参加いただいて、天井を塗ったり、棚を作成したり、楽しみながら作業をしています。

今後手を加えていく予定なのは、土間、かまど、五右衛門風呂、照明ですね。

土間は、外とつながる場所なので、土のままです。ただ今は地面が柔らかく、ここに椅子やテーブルを設置すると脚が埋まってしまうので、学生たちで叩いて固める作業を行う予定です。

かまどや五右衛門風呂、照明は大工さんや職人さんの力を借りながら、学生ができるところを手伝っていく流れになると思います。

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ワークショップに参加された地域の方

 

プロジェクト進行役の学生にインタビュー

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再生作業のチームリーダー 塩沢竜弥さん(大学院2年生)/写真左

古民家再生プロジェクトの開始当初から参加してきた塩沢さん。解体から建物の基礎部分の完成まで全てに立ちあってきた。

「多くの学生は、架空の図面を描いてモデルを制作する程度しか体験できないところを、古民家の解体作業をしたり、大工さんから直接技術を学んだり、実践しながら学べたことはとても貴重な経験でした。これから土間造りが待っていますが、この場所を自分たちの手でより使いやすくしていけることに喜びを感じています。大学院を修了すると、長野の地元に戻ってゼネコンで働くことが決まっています。帰ってからも、ここでまなんだことを生かしてまちづくりに関わっていけたらいいなと考えています」

 

まちづくりのチームリーダー 守本怜矢さん(大学院1年生)/写真右

福富町の古民家実態調査等をまとめた論文が東広島市の「地域課題研究懸賞論文」最優秀賞を受賞。現在、空き家を借りて起業し、自分も体験することで、まちづくりの在り方や可能性を探っている。

「古民家再生に参加して、空き家の実態を知ることができ、できることを探るため、自分も空き家を活用してみることに。グラフィックデザインをメインに、建築・家具のデザイン、解体作業をプランする事業を起こしました。広く人を結んで、空き家を増やさないために活動していきたいと考えています。星降るテラスは外に向けて発信する拠点、自分のオフィスは戦略を立ててチームをつくる拠点。一つひとつ着実に取り組み、みんなが笑顔になるような流れを作りたいと思っています」

 

プロジェクトを進める中で気付いたことはありますか。

プロジェクトに取り掛かった当初は、宿泊ができたり、食事もできたりと、広く活用方法を考えていました。しかしさまざまな制約を知ることで、無理をせず学生主体でできることに絞ることにしました。

これまで建築士会のイベントや、星の観賞会など開いてきました。この拠点が「田舎暮らしを体験できる場所・学生の実践学習の場所」として徐々に地元の方にも浸透してきていると思います。これからもコンサートを開くなど、定期的にイベントを開催していく予定です。

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空き家問題について

空き家を再生して学んだことは、空き家だけ改築しても、まちづくりとして大きな変化を起こせないということです。

私のプロジェクトを耳にした方からいろんなご連絡をいただきましたが、いちばん多かったのが、「学生に来てもらって活動してもらいたい」という要望でした。東広島市は学生の多い町なので、比較的学生を集めやすい環境ですが、空き家問題を抱える多くの中山間地域はそうはいきません。それに、学生は賑わいを創出できますが、大学を卒業して社会へ出ていくため、簡単に“定着”はできないでしょう。その土地に根付いて、まちづくりの担い手として活躍するには、さまざまな経験を積み、覚悟を持って「リスタート」を希望する30代~40代の若者が、空き家活用のターゲットなのだと理解しています。

また、移住者の多くは、美しい里山の風景に魅力を感じています。しかし、その美しい里山、田畑を作っているのは、65歳以上のご高齢の方々です。農業のこれからなど、包括的に考えなければ、空き家問題の本質は解決しないとも考えています。

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今後の目標を教えてください。

「中山間地域で学生が活動している」それだけで価値のあることなんだと改めて実感しました。

星降るテラスは未完成のまま、建物に手を加えたり、面白いイベントをしたり、学生主体でどんどん進化させていってもらいたいと考えています。

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私の家族の居住スペースにと考えている納屋は、まだ手付かずです。私の楽しみとして、じっくり造っていきたいと考えています。